人的資本経営

事業戦略と連動した人事戦略

 当社は「Do Create Mystyle くらしの夢をカタチに」の経営理念のもと、豊かなくらしを総合的に提供する「生活快適化総合企業」への変革を目指しています。
 その実現のための原動力は人材の多様性と創造力、自己成長への意欲であると考えています。個人の価値観を尊重した多様な人材が活躍できる環境づくりと、人材育成や自律的な学びへの積極的な支援により、一人ひとりが最大限に能力を発揮できる組織の構築を進めています。従業員のウェルビーイング実現に向けた支援によるエンゲージメントの向上と、企業価値向上への意識の醸成を通じて、持続的な企業の成長と価値の向上を図っています。

事業戦略と連動した人事戦略

1. 人財育成

 中長期的な企業価値の向上を目指すうえで、次世代を担う人材の育成は重要な課題と捉えています。そこで当社は2026年からの第4次中期経営計画、2030年を見据えた長期事業構想の実現に向け、経営と一体となった人材育成を行っています。具体的には目指すべき人材と現状のギャップを把握するために人材情報の一元管理を進め、中長期的な人材育成の視点で体系化した教育に加え、選抜した人材に対して、育成を目的とした配転や社内タスクへの積極的な登用を行い、成長基盤となる人材を育成しています。

人財情報の一元管理

 DCM株式会社(以下、DCM)ではタレント・マネジメント・システムを活用し、人材情報の一元管理を行っています。社員の基本情報、研修履歴やスキル、本人が得意としている領域や目指すキャリアなどの情報を一元管理し、採用から配転、能力開発やポストへの早期抜擢に活用することで、パフォーマンスの最大化を目指しています。また、将来的な経営人材の候補者を世代別にグルーピングし、選抜型の研修や政策的な配転、各種プロジェクトリーダーへの登用などに活用しています。

中長期視点で人を育てる教育体系

 DCMでは自律的な自己育成ができる従業員像を重視し、そのための支援として、すべての従業員が自ら学べる環境を整備しています。具体的には社内で作成した教育動画をオンラインで視聴できるツールを活用し、いつでも、どこでも、何度でも学べる環境を整えており、動画で学ぶ風土は社内に浸透してきています。希望者にはビジネススキルを中心とした学習コンテンツを学べる社外の動画サービスの受講料を一部補助することで、業務スキルはもちろん、幅広いビジネススキルを学びやすい環境を整えています。
 ビジネス環境の変化が激しい時代となり、企業の舵取りを担うトップマネジメントの役割と責務は大きくなっています。DCMでは、持続的な企業価値向上を支える経営人材の育成を重要な人的資本投資と位置付け、2024年度より「トップマネジメント育成プログラム」を開始しました。本プログラムは、将来の経営を担う人材を計画的に育成するための中核施策であり、対象者の自己変革意識の醸成と経営視点の強化を目的としています。求められる役割や期待される能力水準に応じて3階層のクラスを設け、それぞれ2年間にわたる体系的かつ実践的な育成を実施しています。
 2024~2025年度の第1期では67名がプログラムの課程を修了しており、2026~2027年度の第2期からは、対象者をDCMグループ全体に拡大して開始しています。参加者は、自薦・他薦による応募者の中から選抜審査を経て決定しており、主体的に挑戦できる仕組みを整えています。本プログラムを通じて、変化の激しい経営環境において新たな価値創造を牽引する人材を継続的に輩出し、組織の競争力強化と持続的な成長の実現につなげています。
 また、経営人材育成の裾野を広げる取り組みとして、2026年度より若手社員を対象とした早期育成プログラム「Prep Class」を新設しました。自薦応募者の中から選抜された受講者は、将来の経営人材候補として1年間の学習プログラムに取り組み、経営視点やリーダーシップの基礎を体系的に習得しています。
 若手層から経営層候補までをつなぐ一貫した育成体系として、従来の「トップマネジメント育成プログラム」と新設した「Prep Class」を接続し、2026年度からは新たに73名が受講します。
 これらのプログラムを通じて次世代経営人材の継続的な輩出を実現し、人的資本の価値最大化と中長期的な企業価値向上を目指しています。

DCM教育体系図

当社の教育体系図

専門人材の教育体系

 DCMではリフォーム事業の拡大に向けて、お客さまの住まいに関するお困りごとに的確にお応えできる専門人材の育成に取り組んでいます。リフォーム担当には、商品知識や施工知識に加え、お客さまのご要望を丁寧にお聞きするヒアリング力、最適なプランを提案する提案力、工事を安全かつ確実に進める施工管理力など、幅広いスキルが求められます。そのためDCMではキャリア年数や習熟度に応じて、トイレ・洗面化粧台・キッチンなどの基本的な商品知識や、見積り・提案・施工までの一連の流れを学び、現地調査や見積提案、複合工事への対応、法令・安全管理など、より実践的な知識と提案力を高めていく教育体系を整備しています。また、大型工事への対応、建築法規・工程管理・原価管理、品質管理、後進の育成など、専門人材としてさらに高度な役割を担えるよう、計画的な育成を実施しています。
 集合研修、学習ツール、ロールプレイング、現場同行やOJTを組み合わせることで、知識の習得だけでなく、実際の接客・提案・施工管理の場面で活かせる実践力を育成しています。

資格取得の支援

 ホームセンターには専門性の高い商品を多く取り扱っており、お客さまの多岐にわたるニーズにお応えするには、高い専門知識とスキルが求められます。そのため、単に商品を売るだけではなく、お客さまにくらしのご提案をさせていただくには、従業員のスキルアップが不可欠です。
 DCMでは各種資格の取得を積極的に推奨し、受験費等の会社補助の拡充、対象者の範囲拡大、対象資格の追加などを実施し、資格を取得しやすい環境を整えています。ホームセンターに強く求められるDIYに関しては積極的に取り組み続けてきたことで、一般社団法人日本DIY・ホームセンター協会によるDIYアドバイザーの認定者数は業界内で最多の1,446人(2026年2月現在)となっています。
 また、専門性のある園芸・自転車・ペット・福祉・リフォーム関連などの資格取得支援も強化しています。専門性の高い知識・スキルにより、モノを販売するだけでなく、お客さまに寄り添った提案やアドバイスができ、お客さまに頼られるプロとして活躍することを目指しています。特にリフォーム関連においては、「リフォームスタイリスト」「建築施工管理技士」などを対象に、テキスト費用や試験費用等の補助を行っています。また、資格ごとに必須・推奨・会社指名などの優先度を設け、計画的な取得を促進しています。
 そのほか、業務システムの効率化、DX化を推進する中で、IT社会で働くうえで必要とされる基礎知識を身につけるため、ITパスポートの積極的な取得を計画的に進めるなど、戦略的に資格取得に向けた働きかけを行っています。

DCM資格取得制度 推奨資格 ※一部抜粋

DCM資格取得制度 推奨資格 ※一部抜粋

社内資格・認定制度「DCMアドバイザー」の活用

 DCMでは「DCM資格取得制度」に加え、基礎的な商品知識に関する理解度を測る、独自の社内資格・認定制度「DCMアドバイザー」を設けています。「DCMアドバイザー」の実施目的は、すべての従業員に商品知識力向上の機会を設けること、継続的に自ら学ぶ姿勢を醸成することです。基礎的な商品知識だけでなく、お客さまのご要望に適切にお応えできる人材の育成を図っています。
 そこでDCMでは、「DCMアドバイザー」の資格取得の支援として、商品知識集や動画による教育環境を整えています。また、実際に商品を用いて学ぶ商品知識講習会では、座学だけではなく体験を通じた知識・スキルの習得を図っています。
 「DCMアドバイザー」は、2021年度から年1回の社内認定制度として導入し、対象はパートナー社員(パート社員)を含むすべての従業員となります。社内システムを用いて、誰でも簡単に挑戦することが可能です。
 資格認定により自信を持ってお客さま対応ができることから従業員も積極的に挑戦しており、受検者および認定者数は年々増加し、2025年度には延べ約10,600名のDCMアドバイザー認定者を輩出しています。
 今後も、自ら学ぶ組織づくりの一環として、本制度を拡大・進化させていきます。

2. 多様な人材活躍の推進

 当社は、従業員一人ひとりがお互いを認め合い、個人を尊重することで、多様性を活かしながら能力を最大限に発揮できるようダイバーシティー&インクルージョンを推進しています。

女性社員の活躍推進

 ダイバーシティー&インクルージョンを推進するにあたり、特に女性の採用・活躍推進は、多様化する市場ニーズへの対応を図るうえで必要不可欠と考えています。DCMの2026年3月時点の女性社員数は568人、正社員における女性社員比率は14.5%となっています。直近3年度における新卒入社者の半数近くが女性であり、今後も女性社員比率が拡大していくことが想定される状況において、女性が活躍できる環境づくりは重要な課題であると考えています。DCMでは、結婚・出産・育児などライフイベントが生じた後も長く活躍し続けられるよう、キャリアを形成できる環境づくりに努めており、女性が働きやすい環境づくりの施策として、社内の女性社員交流会を実施しています。女性社員同士の新たなコミュニティーの形成、キャリア形成やライフプランなど女性社員が抱える不安の払拭、お互いに気づきや共感を得ること、今後の制度や風土改革につなげられる場とすることを目的にしています。2023年度から2025年度までの参加者数は延べ783名となり、部門を超えた交流や学びの機会を提供しています。
 また、社内の交流会とは別に、他企業の女性社員との交流会も実施しています。社内だけでは得られない気づきや刺激を受けることができ、自らのキャリア形成につなげられるような場となっています。2025年度には、他企業で活躍する女性社員を講師に迎えた「女性キャリアアップセミナー」を開催し、62名の女性社員が参加し、多様なキャリアモデルに触れることで、自身のキャリア形成や成長について考える機会となりました。
 これらの環境づくりと並行して、すべての管理者を対象にダイバーシティー&インクルージョンや育児支援制度の研修を実施し、管理者を通じた従業員への理解促進を図っています。このように、DCMでは女性社員の活躍推進のための環境づくり、すべての従業員の理解促進の二つの側面から取り組んでいます。これらを通じて、女性社員が活躍できる環境を整え、管理職に占める女性社員比率は、2026年3月時点で3.5%となっています。

女性社員の活躍推進

シニア人材の活躍推進

 DCMでは社内でさまざまなキャリアや経験を積み重ねてきた社員が、セカンドキャリアにおいても自身の強みを活かし、いきいきと活躍し続けられる環境づくりを進めています。その一環として、「今後担いたい業務」や「得意分野」について自己申告できる体制を整えています。具体的には、これまでの経験や知識を活かした社内講師、店舗からの相談に応えるアドバイザーや店舗改装を専門的に担うチームでの活躍などがあります。近年では住宅設備の補修やリフォームを担う「住まいるヘルパー事業」において、社内職人としての活躍を希望する社員も増えています。
 また、経験豊富なシニア人材が継続して活躍できる制度整備の一環として、2026年から正社員の人事制度を改定し、60歳の定年時に定年年齢の延長を選択できる制度を導入しており、延長後の定年年齢は段階的に引き上げることとしています。正社員以外の従業員についても、定年再雇用後の雇用上限年齢を70歳から72歳へ引き上げており、継続して活躍したいという従業員の声を反映した制度づくりを進めています。
 今後も、一人ひとりが培ってきた経験や専門性を発揮できる環境を整備し、多様な人材の活躍を通じて持続的な企業価値の向上につなげていきます。

シニア人材の活躍推進

社内登用の推進

 正社員へのキャリアアップを希望する従業員がやりがいを感じ、自己実現を図ることを目的として、パートナー社員から正社員へ挑戦できる社内登用制度を導入しています。
 社内登用制度は能力や意欲のある従業員の活躍の場を広げることで、将来的に店舗の管理者や本社の専門職として期待できる人材を発掘することも目的としています。例えば、2008年度にパートナー社員から正社員に登用された男性社員は、店舗や本社での経験を経て2018年度から店長を担い、現在は本社部署のマネジャーとして活躍しています。同様に、2011年度に正社員に登用された女性社員も店舗での経験を積み重ね、2023年度からは店長に昇進し、現場の指揮を執っています。
 2025年度は合計5名の従業員が正社員登用試験に合格しています。今後もキャリア形成の一環として、また人材の多様性を高めるため、社内登用を推進していきます。
 また、2026年度からは正社員と同等の職務を担いながら勤務地を固定できる働き方として、「準社員」という社員区分を新設しています。人材獲得競争が激化していく今後を見据え、社内からの正社員および新設した準社員への登用によって、事業継続に不可欠となる人材の確保を推進しています。

3. 多様な働き方の推進

異動区分制度

 DCMでは、個人の価値観やライフスタイル、家族の状況などに合わせて転勤可能な範囲を申請することができ、社員一人ひとりが働き方を選択できる異動区分制度を導入しています。異動区分には3つの区分があり、全国での勤務が可能な「エリアフリー」、勤務地を一定の範囲内とする「エリア」、社員の居住地から通勤可能な範囲内とする「地域」があります。
 また、特別な理由(看病・介護や育児等)により転居転勤が困難となった場合に、一時的に勤務地を本人が希望する地域とすることが認められる「勤務地一時限定制度」を導入しています。認定期間中は、認定前の処遇が維持されるため、社員は安心して制度を利用することができます。

各エリアの範囲

ブロック、エリアの範囲

マイシティ制度

 働くうえでの拠点を選択するマイシティ制度を2024年度より導入しています。これにより、全国転勤が可能な社員についても、本人が拠点としたい場所を考慮した人事異動を行うことができ、社員一人ひとりの希望を尊重しながら活躍できる制度としています。
 また、勤務先がマイシティから離れた場所であった場合、生活や帰郷のサポートを目的とした手当を支給する制度を導入しており、実際にマイシティから離れて勤務する社員が安心して働けるように支援しています。

育児・介護支援制度

 当社の育児・介護支援制度は法定を上回る内容としており、すべての従業員が安心して出産や育児、家族の介護ができるよう、利用しやすい環境づくりに取り組んでいます。2024年度からはイクボス・ケアボスの認定制度を導入し、従業員が上司に相談しやすい職場環境の整備に取り組んでいます。
 2025年度は配偶者が出産した男性従業員40名については、対象者全員が育児休業または会社独自の育児休暇を取得し、男性育児休業・休暇の取得率は100%となりました。このような取り組みの結果、2025年12月に子育て支援など一定の基準を満たした企業が厚生労働省より認定される「くるみん」の認定を取得しています。
 従業員の多様な価値観を尊重しながら、それぞれの自己実現をさらに後押しできるよう、今後も多様な働き方の推進に取り組んでいきます。

2025年認定くるみん☆ 子育てさぽーとしています

健康経営の取り組み

 当社は、経営理念である「Do Create Mystyle くらしの夢をカタチに」を実現し、お客さまとともに豊かなくらしを創造するためには、従業員自身が健康であることが必要不可欠と考えています。
 そのための取り組みとして、長時間労働の抑止はもちろん、健康診断の受診率100%を基本として従業員全員が受診できるよう受診日程の管理や各店舗での健診実施を行っています。生活習慣病予防に向けた特定保健指導についても、健康増進を意識する機会として積極的に推奨し、勤務時間内での受診や勤務場所でのオンライン受診など、受診しやすい環境を整えた結果、受診率は年々向上しています。
 また、ストレスチェックについては、すべての事業場で実施しており、集団分析結果に基づく改善に向けた取り組みを現場の所属長と共有しながら推進しています。2025年度の高ストレス者割合は11.8%であり、2027年度には10%以下にすることを目指しています。
 今後も従業員一人ひとりが心身ともに健康で、意欲を持って働けるよう、健康経営の取り組みを積極的に推進していきます。

健康経営推進体制
※健康経営宣言:https://www.dcm-hldgs.co.jp/grp/company/health.html

DCM(株)人的資本経営に関わる数値状況

項目 2025年度 数値
育成 教育・学習時間 144,873時間
階層別研修参加者数 754人
エンゲージメント エンゲージメント(eNPS) -56.6
有給休暇平均取得日数 9.09日
流動性 勤続年数 21.69年
離職率 4.94%
ダイバーシティ 女性正社員比率 14.58%
女性管理職比率 ※1 3.50%
女性活躍に関する研修時間、および女性社員交流会の実施時間 385.5時間
男性育児休業等取得率 100.00%
男女賃金差異(正社員)※2 80.14%
男女賃金差異(正社員以外)※2 91.49%
男女賃金差異(全従業員)※2 57.78%
健康・安全 健康診断実施率 99.20%
労働慣行 人権に関する研修時間 1,018時間
労使協議会等の開催 28回

※1 管理監督者として勤務する従業員を管理職として算出
※2 女性の職業生活における活躍の推進に関する法律の基準に基づき算出