2017.12.22 お屠蘇、おせち、お雑煮。正月料理の意味と由来|暮らしの歳時記~今さら聞けないマナーと常識~

おせち料理とは本来、正月七日、ひなの節句、端午の節句、七夕、重陽(9月9日の菊の節句)の五節句の際に備える料理全般をさしていました。そのうち、節句のうちでも特に重要な正月の料理だけを「おせち料理」と呼ぶようになったのです。日本の行事を代表するお正月。その食卓に欠かせない、お雑煮やお屠蘇、おせち料理など、お正月料理についてご紹介します。

家族が1年間健康に過ごせることを願う、魔よけの薬の意味を持つ屠蘇。「屠」は退治する、「蘇」は病魔という意味で、お屠蘇をいただくと、邪気を払い、寿命を延ばすという言い伝えがあります。山椒や桔梗などの薬効成分が含まれている「屠蘇散」を、大晦日のうちにみりんか日本酒にひたして作ります。

元旦の朝、新年の挨拶を交わしたら、年の若い順、家族なら末の子どもから、大中小の三種の杯で、上の小さな杯から一杯ずつ飲むのが正式ですが、ひとつの杯に3回に分けてお屠蘇を注ぎ、3回に分けて飲む「三献」という略式も。杯は男性は片手で、女性は両手で受けましょう。おせち料理やお雑煮をいただくのは、お屠蘇の後です。

年末に年神様にお供えした餅や大根、にんじんなど、さまざまなお供え物を元旦の日に下げ、「若水」で煮て皆で食べたのがお雑煮の始まり。現代でもお正月の祝い膳には欠かせない料理です。地方や家によって、材料や調理法は千差万別。大きく分けるとすまし汁仕立て(関東、中国、九州など)、白みそ仕立て(関西など)、小豆雑煮(東北、中国、九州の一部など)の三つの方法があります。

おせち料理に限らず、結納や赤ちゃんのお食い初めなど、おめでたい席での食事を祝い膳と呼びます。お正月の祝い膳はお屠蘇→おせち料理→お雑煮の順序でいただくのが正式。なかでもおせち料理は、めでたさを「重ねて」、重箱に詰められた縁起のよい食材をいただく料理です。

おせちを詰める重箱は、外が黒、中が赤のものが正式。四段重ねにすることが多く、一の重(口どり。甘みのあるもの)、二の重(酢の物)、三の重(焼き物)、与の重(煮物)とするのが一般的。「四」は「死」につながるので避けて「与」の字を使います。それぞれのお重には、三品、五品、七品など料理の種類を奇数にして、四隅をあけないように詰めます。

すべてのお重には保存がきくお料理が詰められて、松の内はおせち料理以外は食べないものとされていました。年神様を迎えている間は、煮炊きは慎む、という意味ですが、日頃忙しい主婦に休息を与える知恵でもあったのでしょう。

おせち料理の重箱の一番上の段。祝い肴の料理を詰めるのが一般的です。例えば、昆布巻きは子宝、だて巻きは文化の繁栄、栗きんとんは財宝、田作りは豊作を願う、黒豆はまめ(忠実)に働く、などの思いが込められています。

お祝いの水引を模した紅白なます、おめでたい菊の花の形をした菊花かぶなど、さぱりとした酢の物を詰めます。

焼き物が中心で、腰が曲がるまでの長寿を願うえびや、「めでたい」のごろ合わせから鯛の塩焼きを詰めます。肉料理を詰める地方もあります。

野菜たっぷりの煮物料理を。はすは先が見通せる、ごぼうは無病息災、さといもは子宝、こんにゃくは結ぶことから良縁・円満など。

祝い膳は一人ずつ、脚付きのお膳を用意するのが正式ですが、家庭のお正月の祝い膳では紅白のランチョンマットなどで整えるのもよいでしょう。祝い膳を食べる箸を「祝い箸」といい、柳の白木の丸箸を使います。両端が使えるよう削られているのが特徴で、これは神様用と自分用に使うためといわれています。







「伝統の作法と最新マナー 冠婚葬祭常識辞典」、「日本行事を楽しむ12ヶ月 くらしの歳時記」(ともに主婦の友社刊)より

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